ハタ・ヨガは古くから『壷のヨガ』と呼ばれてきました。
壷を作るとき土で形を作っても、水を入れるとすぐに元のドロドロの土に戻ってしまいます。しかし、火を入れて焼くと水を入れても大丈夫な壷に変わります。
人もハタ・ヨガを火にたとえ、ハタ・ヨガをすることで、外からの色々なことに影響を受けない、強くて決して揺らぐことのない心と身体を手に入れることができ、病気、生活の中で起こる悩み、迷いから開放されていきます。
ヨガの本意である「アーサナ」(ポーズ)は、地球上の人の数だけあります。自分にあったアーサナを見つけて、深い呼吸をくりかえし、意識を集中させると、心のバランスをとることができます。
ヨガ、特にハタ・ヨガでは、真似をするのも難しいというようなアーサナはほとんどありません。真面目に長い期間をかけて行えば、必ず身体だけでなく、心の健康も得ることができます。
ヨガを理解するために、広く読まれている大切な経典に「ヨーガ・スートラ」というものがあります。この経典では「ヨガを説明します」という前置きの直後に「ヨガとは、心のはたらきを鎮めることです」と述べられており、これを『止滅のヨガ』と称しています。
何度読んでも、この「心のはたらきを鎮めること」はすごいことだと感じます。ヨガの究極の目標はここにあり、それを達成するために、アーサナを繰り返しているのではないでしょうか。
生活の中で、日々起こるいろんな事象から解放されて欲を去る方法が「ヨーガ = 行」です。
私たちは絶えず呼吸しています。ドキドキすると呼吸が荒くなり、リラックスしているときは、深い呼吸になります。怒ったりすると、呼吸が乱れます。そんな時に、自分の呼吸に意識を集中させると、心のバランスをとることができます。
ヨガでは、アーサナが終わったあと、深い呼吸を繰り返し自分の身体に起こっている反応を感じとるようにします。
アーサナ → 呼吸 → 意識がひとつの輪になることで、私たちの心と身体のリズムとなり、調和をもたらしてくれるのです。
ハタ・ヨガの「ha」は『太陽』『息を吸う』、また、「tha」は『月』『息を吐く』という、対極を成すもの、陰と陽の意味を持っています。
そして、「YOGA」には、『つなぐ』『つながる』という意味があります。
つまり ha-tha-YOGA は、心と身体の一体化や、その陰と陽の対極のものを繋げ、バランスをとることで、そこから大きな力を得るヨガだといえます。
全ての事象には陰と陽があり、そのバランスでベクトルが決まり、時が流れていきます。
私たちの身体や心にも同じようにそのバランスがあり、それにより、心の持ち方や体調が変化していきます。
ハタ・ヨガは、「アーサナ(ポーズ)」、「呼吸法」、「ムドラー(手のカタチ)」、「サマディ(本当の自分に還る)」の様々な組み合わせによって陰陽のバランスを保ち、心や身体の安定を生み出します。